一 般 の 方 へ 治験とは |
1.治験への参加について |
2.治験を安心して行っていただくために |
3.一部の費用について |
4.プライバシーの厳守 |
化学合成や、植物、土壌中の菌、海洋生物などから発見された物質の中から、試験
管の中での実験や動物実験により、病気に効果があり、人に使用しても安全と予測さ
れるものが「くすりの候補」として選ばれます。この「くすりの候補」の開発の最終段階で
は、健康な人や患者さんの協力によって、人での効果と安全性を調べることが必要です。
こうして得られた成績を国が審査して、病気の治療に必要で、かつ安全に使っていける
と承認されたものが「くすり」となります。
人における試験を一般に「臨床試験」といいますが、「くすりの候補」を用いて国の承認 を得るための成績を集める臨床試験は、特に「治験」と呼ばれています。
治験は病院で行われます。治験を行う病院は、「医薬品の臨床試験の実施の基準 (GCP)に関する省令」という規則に定められた要件を満足する病院だけが選ばれます。
その要件とは、医療設備が充分に整っていること、責任を持って治験を実施する医師、 看護師、薬剤師等がそろっていること、治験の内容を審査する委員会(治験審査委員 会;当院では受託研究審査委員会といいます。)を利用できること、緊急の場合には直 ちに必要な治療、処置が行えることです。
医師は「くすりの候補」を使えば病気に効果があると期待される患者さんに、治験への 参加をお尋ねします。患者さんの自由な意思にもとづく文書での同意があってからでない と治験は始められません。この「説明と同意」のことを「インフォームド・コンセント」といいま す。
インフォームド・コンセントの手続き
医師から、治験の目的、方法、治験に参加しない場合の治療法、「くすりの候補」
の特徴(予測される効果と副作用)などが書かれた「説明文書」を手渡され、その内
容がくわしく説明されます。 患者さんは、わからないこと、確認したいことなど、納得す
るまでどんなことでも質問することができます。
治験に参加するかしないかは、だれからも強制されることなく、自分の意思で決めてく
ださい。説明を受けたその場で決めず、説明文書を持ち帰って家族に相談してから決
めることもできます。
参加することに同意いただきましたら、
「同意文書」に患者さんと治験を担当する医師が自筆で署名します
同意文書の控えと説明文書は患者さんに渡されます。
説明文書に書かれていること
(説明文書に記載すべき内容は、「GCP」で定められています。)
・治験の目的、治験薬の使用方法、検査内容、参加する期間
・期待される効果と予想される副作用
・治験への参加はいつでもやめることができること。
・不参加の場合でも不利益は受けないこと
・副作用が起きて被害を受けた場合、補償を請求できること
・カルテ、検査結果などの医療記録を、治験を依頼した製薬会社、厚生労働省、
治験審査委員会の担当者が見ること
・担当する医師の氏名、連絡先
・治験に関する質問、相談のための問い合わせ先 等
2. 治験を安心して行っていただくために
治験コーディネーターの役割について
治験コーディネーターは、患者さんに安心して治験に協力していただけるよう確かな
観察と十分な情報を提供します。また、治験を担当する医師を全面的にサポート
します。治験コーディネーターは、患者さんの一番身近な相談者です。
治験に関する「不安」や「疑問」、どんなささいなことでもお気軽にご相談ください。
3. 一部の費用について
治験に参加協力していただいている患者さん(外来受診の場合のみ)の負担が
軽減できるよう、交通費等の一部補助を行う場合があります。。
4. プライバシーの厳守
製薬企業や国の機関などがカルテや検査結果を閲覧することがありますが、
患者さんのプライバシーは厳重に保護します。